無痛性甲状腺炎

無痛性甲状腺炎は、橋本病を持っている人やバセドウ病が治まっている状態の
時に起こる病態です。急激にバセドウ病のような症状が出てくるので、
再発したと思う人もいるでしょう。

また橋本病の人は、急激な甲状腺ホルモンの数値が上がるため、バセドウ病にも
なってしまったのか？と少し混乱してしまうこともあるかもしれません。
でも、無痛性甲状腺炎は基本的に、治療が必要になることはありません。

甲状腺の中には、生きていくために必要な甲状腺ホルモンが常に貯められ、
必要な分だけ出てくる仕組みになっています。でも無痛性甲状腺炎になると、
甲状腺が急激に壊されてしまうため、血液の中にホルモンが流れっぱなしになります。

血液中のホルモン数値は当然上がってしまうので、バセドウ病のような亢進症の
症状が出ます。暑い、動悸がする、体重が減ることもあります。亜急性甲状腺炎と
同じくホルモンが流れ出るものですが、痛みは伴いま せん。

ですがホルモンが全部出てしまうと、これらの症状は消え、今度はホルモンが
足らない状況になります。橋本病による低下症とは違い、無痛性甲状腺炎の
場合は、特に何もしなくても数ヵ月後には正常に戻ります。

ただ、20％くらいの人は低下症になると言われています。
元々橋本病を持っている人に多いので、これをきっかけに
甲状腺機能低下症が出てきてしまった感じです。

またバセドウ病にそっくりな症状が出ても、血液検査をすると自己抗体が
見つかるか見つからないかで、ちゃんと判別することが出来ます。
症状が強く辛いときは、それを抑える対症療法が行われることもあります。

無痛性甲状腺炎ですと言われても、「治療は必要ありません」と言われるの で
本当に大丈夫なのか、不安になってしまう人も多いと思いますが、
自然治癒を待つことが唯一の治療法なので大丈夫です。

ですが無痛性甲状腺炎は、繰り返すことが多いので、特に症状がなくても
一年に1回くらいは血液検査を受けておいた方が安心です。

関連ページ

亜急性甲状腺炎

亜急性甲状腺炎について詳しく解説します。

橋本病（慢性甲状腺炎）

橋本病（慢性甲状腺炎）について、症状、治療法など

甲状腺腫

甲状腺腫の治療法や検査のしかたなどについて

甲状腺がん

甲状腺がんの症状や検査のしかた、治療法などを書いていきます。