甲状腺ホルモンの働きについて
甲状腺ホルモンの働きについて書いていきたいと思います。
甲状腺は、全身の細胞の新陳代謝が活発になるよう促進させる
甲状腺ホルモンを分泌している器官です。
その働きは、脳にある脳下垂体によってコントロールされています。
甲状腺ホルモンは発育や成長に必要不可欠で、エネルギーを熱に変える
自律神経にも作用したり、精神活動にも大切な働きがあるホルモンで、
これがないと人間は生命を維持することができません。
バセドウ病が、しばし心の病と間違えられて診断されるのは、甲状腺ホルモンが
精神面のコントロールにとても深くかかわっているからなんですね。
気のせいではなく、本当に心の病と同じくらいの精神状態になることもあります。
甲状腺ホルモンは食べ物(わかめや昆布など)に含まれるヨードを原料として作られ、
体の新陳代謝に必要なT3(トリヨードサイロニン)とT4(サイロキシン)の2種類を合成し、
血液の中に分泌します。そして脳下垂体からでるTSH(甲状腺刺激ホルモン)によって
調整されています。
このコントロールが上手くいかなくなり、分泌が過剰になると、体温が上がる、脈が速くなる、
汗をよくかくなどの症状があらわれ、また低下すると体温が低下する、脈が遅くなる、
元気がなくなるなどの症状が現れます。
もしも赤ちゃんの時に甲状腺ホルモンが不足すると、知能の発達や成長が遅くなり、
先天性甲状腺機能低下症の病気の原因になります。
早期発見・早期治療がその後の発達や成長に大きく影響するため、日本では
生まれてから5日以内に足の裏から血液を採取し、甲状腺ホルモンの検査を
しています。日本では全ての新生児がこの検査を受けているのです。
また、甲状腺ホルモンの働きは、分泌のバランスがとても大切で、分泌が
過剰になったり低下したりすると、様々な病気になります。
私たちのバセドウ病もそのひとつですね。
このように、普段何気なく過ごしている間にも、小さな臓器である甲状腺は
人間の体の生命活動の維持に、一生懸命働いてくれているのです。