亜急性甲状腺炎
亜急性甲状腺炎は、甲状腺に急激な炎症が起こり、痛みがでる疾患です。
痛みは首の下(左右どちらか)や耳の辺りに出ることが多く、通常は甲状腺より
喉や耳の疾患を疑って、耳鼻科などを受信する人も多いようです。
亜急性甲状腺炎になる原因は、はっきりとは解明されていません。患者さんのうち、
およそ半数くらいの人が、亜急性甲状腺炎の症状が出る前に、風邪をひいたり
扁桃腺や咽頭に炎症が起きたりしているようです。
ですから、これらの症状をおこすウィルスと免疫機能が戦った際に、何らかの狂いが
免疫機能に生じて、甲状腺に影響を及ぼすのではないかと、考えられています。
女性のほうが何倍も多く発生し、その9割以上は30代といわれています。
亜急性甲状腺炎の痛みはかなりひどく、触っただけでも辛いくらいです。痛みははじめ
甲状腺の片方に出ることが多いですが、後から別のほうに出ることもあります。
それ以外の症状は、発熱、そして甲状腺機能亢進症のような症状が出ることもあります。
甲状腺機能亢進症の症状が出るのは、エラーを起こした免疫により、甲状腺が傷つき、
そこに蓄えてある甲状腺ホルモンが血液の中に流れ出してしまうからです。
一時的に、バセドウ病の人のように、動悸、発汗、倦怠感を伴う状態になります。
ただ、甲状腺ホルモンが過剰に作られてしまうバセドウ病とは違い、蓄えてある
ホルモンが全て血液中に出てなくなると、亢進症の症状もなくなり、逆に低下症の
症状が出ることもあります。
亜急性甲状腺炎は血液検査で診断されることが多いですが、バセドウ病と区別する
ためにアイソトープが行われることもあります。
亜急性甲状腺炎は自然治癒する病気なので、これに対する治療は行われません。
つらい痛みを和らげるために、消炎鎮痛剤や副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)が
使われます。
副腎皮質ホルモン剤は痛みや発熱に大変効くようですが、症状が治まったからといって
急にやめるとぶり返すことがあり、1ヶ月くらいかけて、少しずつ減らして行く方法が
とられます。
特に気をつけることや、食べてはいけないものはありませんが、普通の風邪のように
出来るだけ安静を心がけたほうがいいでしょう。
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