橋本病(慢性甲状腺炎)
バセドウ病と逆の症状を示すことで、よく名前があがるのが橋本病です。
またの名を慢性甲状腺炎と言い、文字の通りそのまま甲状腺に慢性的な
炎症がおきていると言う病気です。
バセドウ病と同じく、体の中に出来た自己抗体が、甲状腺に影響を与えますが、
ホルモンを多く出させるのではなく、破壊していくものです。
ただ、橋本病はそう診断されても、必ずしも治療が必要になるわけではなく、
甲状腺機能低下症になっていなければ、基本的に定期観察になります。
定期的な検査で甲状腺機能の低下が見られると、ホルモンを補充する薬物療法が
はじまります。自己抗体を取り除いたり、破壊された甲状腺を元に戻す方法は
今のところ ないため、基本的にホルモン剤はずっと飲むことになします。
ホルモン剤ははじめ、とても少ない量から飲みはじめます。体の状態を診ながら
徐々に増やしたりして、自分に合った量を調整していきます。この量が定まる
までには、ある程度の時間がかかります。
橋本病でよくある症状は、首が腫れる、体重が増える、疲れやすくなる、肌の乾燥、
声が枯れる、脱毛などです。
甲状腺ホルモンは、体の新陳代謝をつかさどっているため、これが減ると
体が急に老化したような状態になります。ぼーっとなり集中力もなくなるので、
年配の方が橋本病を発症すると、痴呆症と間違えられることもあります。
甲状腺ホルモンは、一生のうちでわずかスプーン一杯分しか分泌されません 。
これを薬で調整していくので、ぴったりの量が決まるまでは、時間がかかることも
あります。
ただ、その量が見つかれば、低下症の症状も落ち着き、普通の人と変わらない
生活が送れるようになります。他の自己免疫疾患などと合併することも多いため、
体調が良くても勝手に薬や定期的な診察を中止してはいけません。
また、ホルモン剤で体調が安定していても、ストレスや過労、寝不足などで、
体調が不安定になることもあります。あまり無理をしないことも、この病気と
上手く付き合っていくコツと言えそうです。